第 7 話 システムってなんだろう
システムの語源
あかり
(料理をしながら) ここで塩を入れて弱火にしてっと…。そういえばシステムキッチンの「システム」ってなんなのかしら。
ねこさん
一緒に考えてみようか。
あかり
あ。ねこさん。
ねこさん
システムは英語だと system とつづるよ。
あかり
ふむふむ。とりあえず火を消そっと。
ねこさん
1 つ目の語源 sys は「一緒に」を意味するよ。
あかり
あら。company の com も「一緒に」だったわね。
ねこさん
そう。com と sys みたいに、つづりは違うけど、意味は同じ語源もあるんだ。
あかり
そうなのね。
ねこさん
さて。話を戻すと、語源 sys から生まれた英単語には sympathy があるよ。
あかり
シンパシー。
ねこさん
sympathy の語源 pathy は「感情」を意味するよ。
あかり
じゃあ「一緒の感情」ということ?
ねこさん
そう。だから sympathy は「共感」や「同情」を意味するんだ。
あかり
なるほどね。
ねこさん
system の 2 つ目の語源 st は「立つ」を意味するよ。
あかり
立つ。
ねこさん
語源 st から生まれた英単語には stand があるよ。
あかり
stand は「立つ」を意味するわね。
ねこさん
そのとおり。語源と同じ意味だね。
システムとは何か
ねこさん
ということで、system の語源は sys「一緒に」st「立つ」というわけだ。
あかり
一緒に立つ。
ねこさん
そこから「組み立てられたもの」という意味になったんだ。
あかり
「一緒に立てる」から「組み立てる」ということね。
ねこさん
そうだね。そして「組み立てられたもの」は、「複数のもので成り立つもの」であるわけだ。
あかり
複数のもので成り立つもの?
ねこさん
system にはいろいろな意味があるんだ。「仕組み、系、組織、制度、身体、手順」といったようにね。
あかり
ひえ〜。たくさんあるわね。
ねこさん
そうなんだ。たとえば水道の「仕組み」を調べてみると、たくさんのパイプやポンプが連携して水を運んでいることがわかるよ。
あかり
あっ。「仕組み」は「組み立てた」ものだし、「複数のもので成り立っている」わけね。
ねこさん
そのとおり。つぎに生態「系」は、動物や植物が関わり合ってできているわけだ。
あかり
「系」も「複数のもので成り立っている」わけね。
ねこさん
そういうこと。
あかり
だんだんとねこさんの言いたいことがわかってきたわ。
ねこさん
それはよかった。会社の「組織」も「複数の人で成り立っているもの」だね。
あかり
ふむふむ。そうするとシステムキッチンは、「複数の設備で成り立っているキッチン」ということね。
ねこさん
そう考えられるよね。
あかり
なるほどね。
ねこさん
そう考えると、身のまわりにはたくさんのシステムがあると思えるよ。
あかり
そうね。なにもかもがシステムなんじゃないかと思えてくるわ。
小さなシステム
ねこさん
物質をつくっている小さな粒のことをなんというのだっけ。
あかり
たしか「原子」だったかしら。
ねこさん
そうだね。となると、物質も見かたによってはシステムなのだろうね。
あかり
たしかにね。物質は「複数の原子で成り立っているもの」ということね。
ねこさん
そうだね。原子のことを英語では atom と呼ぶよ。
あかり
アトム。
ねこさん
atom の a は「否定」を意味するよ。
あかり
否定?
ねこさん
「アシンメトリー」という言葉は聞いたことない?
あかり
あるわ。髪型に「アシンメトリー」ってあるわね。
ねこさん
アシンメトリーは「非対称」を意味するよ。非対称は、対象ではない、左と右でバラバラということさ。
あかり
アインメトリーは、左右で違う髪型にすることね。
ねこさん
そのとおり。アシンメトリーのつづりは asymmetry で、語源 a は「否定」を意味して、sym は「一緒に」を意味するよ。
あかり
「一緒の否定」だから、「一緒ではない」ということね。
ねこさん
そう。だから asymmetry は「非対称」を意味するんだ。
あかり
なるほどね。
ねこさん
そして atom の語源 tom は「切る」を意味するよ。
あかり
じゃあ、atom は「否定」と「切る」で、「切らない」ということ?
ねこさん
そう。「それ以上切り分けられないもの」と解釈してみよう。
あかり
あ。たしか「原子」は、それ以上バラバラにできないのよね。
ねこさん
そういうこと。
あかり
なるほどね。
ねこさん
ただ、正確に言うなら、原子はさらに「原子核」と「電子」に分かれるけどね。
あかり
あ。そうなの。
ねこさん
atom という言葉が生まれた当時は、「原子」は「それ以上切り分けられないもの」だと考えられたんだ。
あかり
でも違ったのね。
ねこさん
そうだね。今では、もっと切り分けられるものだとわかっているよ。
あかり
そういうことね。
ねこさん
つまり「原子」もまたシステムだったわけだ。
あかり
うーん。たしかに。とても小さなシステムね。
大きなシステム
ねこさん
こんどは大きなシステムを考えてみよう。
あかり
じゃあ宇宙なんてどう。
ねこさん
いいね。宇宙もまた「複数の星などで成り立っているもの」なわけだ。
あかり
そうよね。
ねこさん
「宇宙」を意味する英単語は universe だよ。
あかり
uni は「1」だったわね。
ねこさん
そう。universe はあらゆるものが「ひとつ」に集まっているものだから、「宇宙」を意味するわけだ。
あかり
ふーん。壮大な言葉ね。
ねこさん
universe とつづりが近いのは university だね。
あかり
ユニバーシティーは「大学」よね。
ねこさん
そう。「大学」は先生と学生が「ひとつ」に集まっている場所なわけだ。
あかり
なるほどね。
システムの発想力
ねこさん
システムとシステムが組み合わさって、システムができることもあるだろうね。
あかり
それはありそうね。
ねこさん
そのシステムがあるから成り立つシステムもあるだろうね。
あかり
それもありそうね。
ねこさん
システムではないものは存在するのだろうか。
あかり
うーん。あるのかしら。
ねこさん
そんなふうにシステムは想像をかきたてる言葉だと思うよ。
あかり
ふーん。ねこさんはそういうこと考えているのね。