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おもしろ語源

今まで調べてきて特におもしろいと感じた語源をご紹介します。

company の pan は食べられる「パン」

com-「ともに」pan「パン」-y「こと、もの」
一緒にパンを食べる間柄
【名】仲間、友達、会社、連れ、船員

pan はまさかの食べられる「パン」なのです。com が「ともに」を意味するので、company で「一緒にパンを食べる間柄」と解釈でき、company の意味には「仲間」、「友達」があります。日本語でも似た発想の言葉に「同じ釜の飯を食う」があります。ご飯を一緒にする仲は「仲間」ということなのでしょう。

company は「会社」も意味します。「会社」は事業を一緒に成し遂げる「仲間」が集まる場です。

ちなみに company と companion「コンパニオン」はつづりが似ています。これらも同じ語源です。


com-「ともに」pan「パン」-ion「こと、もの」
一緒にパンを食べる仲
【名】仲間、連れ

アルバムとアホウドリ

アルバムとアホウドリは、どちらも「白」が共通しています。


albus「白」
白い本
【名】アルバム

alb「白」
白い鳥
【名】アホウドリ、心配の種

アルバムは「白い」本に写真を貼っていきます。アホウドリは「白い」鳥です。

ちなみに見慣れない英単語かもしれませんが、albumen は「卵白」を意味します。これにも語源 alb が含まれています。ちなみに「卵白」をもっとかんたんに表現したいときには egg white と言えます。


albus「白」
【名】卵白、アルブミン

インフルエンザとインフルエンサー

インフルエンザとインフルエンサーは文字が似ています。じつは同じ語源なのです。


in-「中へ」flu「流れ」
星から出る物質が流れ込んで悪い影響を及ぼすと考えられた
【名】インフルエンザ

in-「中へ」flu「流れ」-ence「もの、こと」-er「人、もの」
影響する (=星から出る物質が流れ込み運気を変える) 人
【名】影響を与える人

malaria は「悪い空気」

マラリアのつづりは malaria です。malaria の語源は mal「悪い」aria「空気」です。malaria という言葉ができた当時は、わるい空気から感染する病気だと考えられたようです。現在では研究が進み、ハマダラ蚊に刺されることで感染するとわかっています。


mal-「悪い」aria「空気」
悪い空気によって広がると考えられた病気
【名】マラリア

パソコンの中で悪さをするソフトウェアのことをマルウェアと呼びます。マルウェアを英語にすると malware となります。malware にも「悪い」を意味する mal- が含まれています。


mal-「悪い」ware「知覚する」
悪いと知覚するもの
【名】マルウェア

book は「書き残す」

英単語の book は名詞で「本」を意味します。book には動詞の意味もあり、それは「予約する」です。「本」と「予約する」には何か関連があるのでしょうか。さっそく語源を調べてみます。


boc「書き残す」
書き残されたもの、書き残すこと、ブナの木
【名】本、帳簿、【動】予約する、(名簿に) 名前を載せる、(帳簿に) 記載する、(警察が) 調書を取る

book の語源には「書き残す」意味があります。意味と語源を照らし合わせると、「本」は「書き残した」ものであり、「予約する」ことは泊まる場所に名前を「書き残す」ことです。さらに book は「記帳する」を意味します。「記帳」は日々の商売の取引を「書き残す」ことです。このように book の根幹は「書き残す」だととらえると、book の多様な意味が頭に入りやすくなります。

book の語源には「ブナの木」の意味もあります。古代の人々が文字を書き残す際にもブナの木が使われたとされます。きっとブナの木は身近な存在だったのだろうと思えます。

gala は「ミルク」

「銀河系」を意味する英単語 galaxy には、語源 gala が含まれています。gala は「ミルク」を意味します。きらめく銀河系の星々を、流し込まれるミルクに見立てたようです。


gala「ミルク」
宇宙から見たミルクの円
【名】銀河

練乳やミルクに含まれる成分にガラクトースがあります。ガラクトースを英語にすると galactose となります。galactose には gala が含まれています。


gala「ミルク」-ose「糖の化学物質」
ミルクの糖の化学物質
【名】ガラクトース

host と hostile

英単語の host は「主人」を意味します。「主人」は「客」をもてなします。英単語の hostile は「敵意をもつ人」を意味します。「敵意」は「敵」に対する意志です。host と hostile はそれぞれ「客」と「敵」を表す正反対です。しかし、host と hostile の語源は一緒だと考えられています。

host と hostile の語源をさかのぼると「見知らぬ人」を意味します。外から訪ねてきた見知らぬ人は「客」か「敵」かはわかりません。このことから正反対の意味の言葉が派生したのだと解釈できます。


host「見知らぬ人」
見知らぬ人をもてなす人
【名】主人、司会者、ホスト、【動】主催する、客を泊める

host「見知らぬ人」
見知らぬ人を警戒するような
【形】敵意のある

メソポタミア文明とカバ

メソポタミア文明とカバには「川」が共通しています。


meso-「中間」potamo「川」
2 つの川の間に栄えた文明
【名】メソポタミア文明

hippos「馬」potamos「川」
川の馬
【名】河馬 (カバ)

メソポタミア文明は語源のとおり、チグリス川とユーフラテス川の「2 つの川の間に栄えた文明」なので、語源を覚えておくと地理も覚えていられます。

happy と happen

happy・happen・happening・perhaps には、「機会」を意味する語源 happ が含まれていることを知ったときは驚きました。


happ「機会」-y「のような」
機会に恵まれるような
【形】幸運な

happ「機会」-en「する」
まれな機会に遭遇する
【動】偶然起こる

happ「機会」-en「する」-ing「こと、もの」
まれな機会に遭遇すること
【名】出来事、ハプニング

per-「貫き通す」hap「機会」
機会があるかのように
【副】たぶん

おつぎは?

いかがでしたか。「語源っておもしろいな」と感じていただけたらうれしいです。

さて。実は語源には「かたより」があります。よく出る語源があればそうでないものもあります。『よく出る語源』では出てきやすい順番に語源を並べました。手っ取り早く身につけたいかたにおすすめです。